« 敵対的買収か買収防衛策か③ | トップページ | 敵対的買収か買収防衛策か⑤ »

2005年7月20日 (水)

敵対的買収か買収防衛策か④

7月19日のプレスリリースで夢真の株式公開買付けの概要が明らかになりました。

一番注目すべきは、買付け価格を110円としたところです。

当初の買付け価格は550円でしたから、

日本技術開発が株式分割を行った場合を想定したのでしょう。

日本技術開発は既に1株を5株に株式分割するを発表していますから、

仮に株式分割をした場合でも、夢真が損をしないように、

買付け価格を5分の1にして公開買付けを行うのでしょう。

これに対して日本技術開発は20日に公開買付け反対に関するお知らせを発表して

公開買付けに反対しています。

反対の理由が「株主の自由な意思決定を損なうおそれのある部分買付けを開始した」

とありますが、よくわからないのは私だけでしょうか?

こういう場合、株主の一番の関心は公開買付けの価格であり、

ほとんどのM&A(企業の合併買収)の案件では、

事業計画の有効性について、事前に客観的な判断は下せないものです。

買収者が買付け価格と買収の目的をはっきりさせる程度が限界だと思います。

特に、敵対的買収の場合にはそれが顕著になると思います。

(決して、敵対的買収を奨励しているわけではありません。)

今回のケースも事前に買収が株主にとって利益になるかどうかはわからないのです。

不安なのであれば、株式を売ってしまうという選択肢もあるのです。

株式を売買するかどうかは、

ある程度自己責任の原則で株主が判断すべき問題だと思います。

今回のケースで危惧されるのは、

今後日本技術開発の対応として、株式分割をしないということも考えられます。

なぜならば、夢真の公開買付け価格は110円なので、

株式分割を行わなければ、誰も公開買付けに応募しないと思います。

ただし、一度取締役会で決議され、公表された株式分割を

買収防衛の目的で取り下げることができるかどうかは別問題です。

おそらく、商法上、証券取引法上大いに問題のある行為だと思います。

なぜならば、株式分割公表後、株式を購入した株主が少なからず存在するからです。

買収防衛目的で、株式分割を取り下げることは、株主利益になるとは決していえません。

おそらく、既存株主の健全な意思決定を疎外するものだと思います。

もっと、危惧されるのは、本件が泥仕合になって、

「買収を行うこと」、「買収防衛を行うこと」が主たる目的になって、

一般株主の利益が保護されないことです。

今後予測される動きとして、「株式分割決議の取り下げ」→「公開買付け価格の引き上げ」

→「再度株式分割決議」→「株式分割差止請求および希釈化条項の適用」

のようなことが起こることが一番危惧されます。

最終的には、司法判断が下されるのでしょうが、

これでは、

一般の株主はどのように投資意思決定をしたらいいのでしょうか?

そのあたりを、監督官庁や当事者が良く考えてほしいものです。

一般の株主があっての株式市場であることをお忘れなく。

|

« 敵対的買収か買収防衛策か③ | トップページ | 敵対的買収か買収防衛策か⑤ »

コメント

おはようございます。TB有難うございました。

20日の日本技術開発の株価は、始値が595円、終値が566円で、高値で603円を一時記録しました(出来高45万株-ただし信用取引分は不明)。昨日からTOBが開始されたようですが、これだと分割の前提からは、市場売却の方が良いように感じられます。19日時点での出来高は176万株弱(信用取引分不明)で、発行済株式総数の凡そ24%に当たります。証取法では、TOB期間中の株式分割を想定していないので、これが法的にどうなるのかも注目されると思います。

夢真HDは6月中(決算前)から既に市場取引で6%以上の日本技術開発の株式を取得したようですが、総会議案提案等の少数株主権を含めて、TOBの成り行き同様に9月の総会でどのような行動を取るのかも注目しています。

蛇足ながら・・・日本技術開発の定款規定が不明ですが、基準日(決算日)以後の株式取得・名義書換(=夢真のTOBに依る取得)は、9月総会での議決権行使には反映されないと思われます(原則的に基準日時点の株主が議決権行使の権利を持つとされる-商法第224条ノ3他)。しかし少数株主権として臨時株主総会召集請求権(3%以上の議決権)がある一方で、経営権を掌握するための(現行)「取締役の解任」は特別決議(2/3以上の議決権)となるため、このあたりもTOBの動向同様に注目しています。

<参考>
http://www1.neweb.ne.jp/wa/kabuombu/members/2623.htm
http://www.tosyodai.co.jp/topics/nakamura/004.html
http://www.houko.com/00/01/M32/048B.HTM#224-3

投稿: selgae | 2005年7月21日 (木) 10時11分

selgaeさん
コメントありがとうございます。

>証取法では、TOB期間中の株式分割を想定していないの で、これが法的にどうなるのかも注目されると思います。

この問題は、私も注目しているところです。
TOB期間中の株式分割は法律違反となるのか、
違法ではないが法律の抜け穴をついてもので好ましくないと
なるのかのどちらかでしょう。
個人的な意見としては、大いに問題があると思います。

>経営権を掌握するための(現行)「取締役の解任」は特別決議(2/3以上の議決権)となるため、このあたりもTOBの動向同様に注目しています。

私も経営権を掌握するために、何らかの行動を起こすと思います。
定款で取締役の定員がどうなっているか確認していませんが、
私の個人的な意見としては、株主提案権を行使して、
取締役の選任の提案をしてくるのだと思います。
そうすれば、過半数の議決がとれれば、
夢真側が選任した取締役が選任されます。
問題は、取締役の定員と今年の定時株主総会で任期満了となる
取締役が何名いるかで、夢真側が取締役の過半数を占めることができるかどうかが決まります。

どちらにせよ、今後の動向に注目したいと思います。

投稿: G.Goto | 2005年7月21日 (木) 19時17分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/112834/5073245

この記事へのトラックバック一覧です: 敵対的買収か買収防衛策か④:

» 夢真HDが株式分割の「差止仮処分請求」へ [時評親爺]
21日付産経新聞と同日付yahooニュース(共同配信)に依ると、夢真HDが既に昨日から実施している日本技術開発に対する敵対的なTOBとあわせ、これまでの攻防戦に加え、いよいよ法廷闘争に持ち込まれることになった。ライブドアvsニッポン放送の場合は、「フジテレビのTOBvsライブドアの市場買い付け」の中での新株予約権の発行差止であり、地裁及び高裁の決定はライブドアの言い分を認める結果となった。参考までに、この時の司法判断は以下の通りである。 東京地裁の「平成17年(ヨ)第20021号」 新株予約権... [続きを読む]

受信: 2005年7月21日 (木) 19時17分

« 敵対的買収か買収防衛策か③ | トップページ | 敵対的買収か買収防衛策か⑤ »