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2005年7月15日 (金)

敵対的買収か買収防衛策か

建設施工管理の夢真ホールディングスが

建設コンサルティングの日本技術開発に対して

株式公開買付け(TOB:注1)を7月20日に発表しました。

それに対して、日本技術開発側は買収防衛策として、

株式分割・新株予約権発行などの対抗策を取るようです。

しかし、夢真側は買収防衛策自体が無効だと主張しているようです。

まだ、買収の詳細が明らかになっているためなんともいえませんが、

今の時点で2点の問題点があると思います。

まず第一に敵対的買収を行なう意味がはっきりしていないことです。

友好的に会社を買収するという話であれば理解できるのですが、

敵対的買収を成功させるのは、極めて難しいと思います。

買収された側は、当然快く思わないでしょうし、

買収後従業員の士気が著しく低下すると思います。

さらに、組織文化の融合も敵対的買収ならさらに難しくなります。

このような状態で、敵対的買収がある程度高い確率で成功する

とはとてもいえないと思います。

また、経営者である以上、将来のリスクをある程度見込んだ上で

意思決定を行なう必要があると思います。

将来のリスクが著しく高いのであれば、

そのような投資をしないという決断も経営者として必要だと思います。

そうしないと、既存株主に対して説明ができないからです。

買収が失敗して、会社が大損したらどのように責任をとるのでしょうか?

しかし、これは一般論としていえることであり、

買収の詳細な情報が明らかになっていないので、

しばらく様子をみてからコメントしていきたいと思います。

おそらく、夢真の経営者がある程度の情報公開をしていただけると思っています。

そうしないと、既存株主が黙ってないと思います。

第二に、そもそも買収防衛策に関する法的見解が明らかになっていないことです。

ライブドア vs フジテレビであれだけ社会問題になっているのにです。

これは、政府・行政の怠慢としかいいようがありません。

法制化できないにしても、何らかの改正案が出されていてしかるべきです。

なぜならば、今回と同じような状況は他にもたくさん想定できるからです。

市場では経済活動が活発に行なわれているのに、

これだけ長い期間にわたって法律の空白時間をいいのでしょうか?

今回の夢真 vs 日本技術開発の問題も、

夢真側が新株予約権差止請求などを行い、

何らかの司法判断が下されることになると思います。

しかし、そもそもの問題として、

司法判断がどのように下されるかどうかを判断するための

法律があってしかるべきではないでしょうか?

これでは、商法がない状態でビジネスを行うようなものであり、

会計基準がない状態で財務諸表を公表するようなものです。

もっとわかりやすく言うと、ルールがないのに野球をするようなものです。

これでは、何を基準に判断していいかわからなくなってしまいます。

判断根拠がないから、会社買収は行ないにくいのではないでしょうか?

それは、経済活動を阻害していることにはならないでしょうか?

今回のケースでも、司法判断が下るまでは時間がかかると思います。

そのような状態で、一般の投資家は

どのように投資意思決定を行なえば良いのでしょうか?

この辺をもう少し考えて、政府・行政に迅速な対応をしていただきたいと思います。

最後に余談ですが、必ずしも夢真の敵対的買収ば間違っていて、

日本技術開発が正しいということをいいたいのではありません。

日本技術開発側にも大きな問題があります。

毎年のように大きな赤字を計上しているので、

既存株主の利益を考えれば、他の会社に買収されたほうがいいかもしれません。

(それが夢真かどうかは別ですが・・・)

そういう意味では、経営責任は十分にあると思います。

そのような経営者に買収防衛策を発動する権利はないと思いますし、

買収防衛策の意思決定は株主総会で行なうべきだと思います。

株主総会で買収防衛策を行なうべきだと決議されれば、

堂々と買収防衛策を行なえばいいのです。

夢真にしても、現時点の情報では

敵対的買収を行なう意義がわからないといいたいのです。

もしかしたら、夢真の経営陣は、敵対的買収を行なう大義名分があるかもしれません。

敵対的買収 vs 買収防衛策の議論は、日本の株式市場において

非常に重要な問題だと思います。

今回はライブドアの一件と違って、知名度が著しく高い会社ではないですが、

性質的に重要な問題と思うので、しばらくブログのテーマにしていきたいと思います。

(注1)株式公開買付け(TOB)とは、ある会社(A社)が他の会社(B社)を買収する際に、

A社がB社の株主に対して「1株○○円で買収しますよ。」と公表して、

買収を行なうことです。

B社の株主は、A社の提示した株価が高いと思えば、

株式公開買付けに応募してくれます。

A社はB社を買収する意思があるため、

通常は市場の株価より2、3割高い株価で株式の買取を行ないます。

そうすれば、より多くの株主が公開買付けに応募し、

会社買収の目的を達成しやすいためです。

証券取引法では、公開企業の一定割合の株式を取得する際には、

市場で株式を買い取るか株式公開買付けによらなければならないと規定されています。

しかし、発行済み株式数の過半数を市場で買おうとすると、

株価がどんどん高くなって、事実上会社買収ができなくなってしまうため、

多くの場合、株式公開買付けによって会社を買収するのです。

また、特定の株主からのみ有利な価格で株式を買い取ってしまうと、

買い取ってもらえなかった他の株主の利益を損なうおそれがあるため、

平等に株式売却の機会を与えるため、

株式を大量に取得する事実を公表してから、株式の買い取りを行なうのです。

ライブドアは、株式公開買付けによらず、

立会外取引で大量の株式を取得したため問題となったのです。

立会外取引とは、市場での売買が終わったあと(9:00から3:00まで)で、

こっそり特定の株主と市場で株式を売買する方法で、

証券取引法上は、市場取引をされています。

株式公開買付けの潜脱行為のようにもとれますが、

現行法上は「問題はあるが違法ではない」という結論に達したようです。

この法律は、現在改正中なので、これからはこのようなことはできなくなると思います。

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