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2005年7月29日 (金)

有限責任事業組合③

今回は、有限責任事業組合の効果的な利用方法についてコメントしたいと思います。

本当は実際の事例で説明できればいいのですが、

制度自体が施行されていないので、想定される事例を紹介したいと思います。

この制度の特徴として、有限責任なのに、経営の柔軟性が認められていることです。

株式会社も有限責任ですが、株主の責任を有限(出資額のみ)にする代わりに、

取締役会の設置、監査役の設置、株主平等の原則などさまざまな制約がありました。

これは、元々は無限責任の組織(合名会社など)しか認められていなかったものを

有限責任を認める代わりに債権者を保護するための制約を設けたのです。

これで、経営に参加しない人が株主として出資することが可能になったのです。

これが「所有と経営の分離」の始まりです。

有限責任事業組合の長所は、組合運営における制約をほとんど取り除いたことです。

取締役や監査役などの機関を設置する義務もなければ、

出資額に対する平等性もありません。

配当額も組合が自由に定めることができます。

株式会社の限界は、「資本の論理」が強く働きすぎていることです。

お金をたくさん出した人が、議決権が強く、配当金額が多くなってしまうのです。

これでは、お金は持っていないけれど、特許、技術、ノウハウを持っている人が

会社経営に参画することが難しくなります。

この問題点を解消した制度が有限責任事業組合なのです。

例えば、非常に優れた特許を持っている人と共同事業を行いたいとします。

「利益の半分と資金を出すから一緒に事業をしない?」

といった提案をすることが可能になります。

資金を出す代わりに、特許のノウハウをもらうことができるのです。

株式会社であれば、特許権を現物出資してもらうことは困難ですから、

資金を出した人が会社を支配してしまうことになります。

特許を提供する人からみれば、

他人資本に支配されている会社に特許を出すことができるでしょうか?

よほどの信頼関係がない限り、躊躇してしまうと思います。

また、建設会社同士のJV(ジョイントベンチャー)でも利用できると思います。

資金力・営業力のあるA社と技術力があるB社があるとします。

A社が大型工事を受注し、その工事にはB社の特殊な技術が必要だとします。

従来のJVであれば、まずJVの出資割合を決定します。

出資割合が大きければ大きいほど自社の取り分は多くなるのです。

ここで、B社が多くの利益配分を受けたいと考えた場合、

出資額を多くしなければいけません。

出資額を多くすれば、それだけ多くの資金負担が生じてしまいます。

通常の建設工事は、先に外注先などへの支払が生じ、

工事代金の回収が遅れることが多いので、

大型工事になればなるほど資金負担が多くなるのです。

工事代金の何割かは前受できますが、

外注先などへの支払額のほうが多いのが通常です。

B社が多額の資金調達が可能であれば、

JVに多くの出資をして参加することが可能になりますが、

そうでない場合、JVに参加できなくなります。

また、従来のJVは民法上の組合ですので、B社は無限責任を負わなければいけません。

B社の規模に比較して大型工事の規模が著しく大きい場合、

その大型工事の成功いかんによって、会社の命運が決まってしまうことになります。

大型工事の失敗が倒産につながるのであれば、

大型工事への参加を躊躇することになるでしょう。

有限責任事業組合を利用すれば、この問題点も解決できます。

B社の責任を有限責任にし、配当割合も自由に定めればいいからです。

出資割合、配当割合についてA社とB社の合意があれば、

契約が成立するのです。

あとは、A社がB社の技術をどこまで必要としているかで、

これらの割合が決まると考えられます。

最後に、資産家とベンチャー経営者の共同事業を例に挙げてみたいと思います。

ある資産家Cさんは、若い経営者に対して資金支援をしていきたいと考えてるとします。

自分自身はある程度年をとっているので、経営意欲はそれほどないが、

資産は豊富にあるので、その資産を世の中のために役立てたいと考えているとします。

そこで、資金力のないベンチャー経営者Dさんは、

新規事業を立ち上げようと考えました。

この新規事業は非常に斬新なもので、成功する可能性が十分あるものだとします。

しかし、Dさんにはお金がありません。

Dさんは、Cさんのような資産家に資金援助をしたもらいたいと考えていますが、

株式会社を設立してしまうと、支配権がCさんになってしまうおそれがあります。

それでは、将来Cさんに相続が起きた場合、

相続人と共同で事業を行っていけるかどうかわかりませんし、

Cさん自体の考え方が変わってしまうかもしれません。

事業が順調に行きはじめたら、

CさんやCさんの相続人に会社を乗っ取られてしまうかもしれません。

それでは、Dさんは安心してCさんの資金援助を受けられなくなります。

一部を借入金にするという方法もありますが、

この場合も利益配分方法をどうするかが問題となります。

株式公開することができるのであれば、

両者とも多額のキャピタルゲイン(株式の値上がり益)を得ることができますが、

すべての会社が株式公開できるわけではありません。

このような場合も、有限責任事業組合が利用できます。

Cさんが多くの資金を組合に提供しても、1人1議決権なので、

会社を乗っ取られる心配はありません。

また、利益配分もCさんとDさんとの間で自由に定めることができます。

このように、有限責任事業組合は従来できなかったコラボレーションが可能になるので、

非常に注目している制度です。

有限責任事業組合を利用することで、

産業の発展(特に地域経済の発展)に貢献することができると思います。

私も地域経済の発展に貢献するために、

有限責任事業組合を積極的に推進していきたいと思います。

有限責任事業組合の面白い実際の事例があれば、今後紹介していきたいと思います。

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